2014.2.15 ムッちゃん結婚式当日 全員合流までの記録
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「みんな、新木場くらいまでなら行ける?」 |
この一通のメールが、この長い一日の幕開けで御座いました。 |
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雪の舞うバレンタインの翌日、2014年2月15日。 |
7時に起きて、カーテンを開けてげんなり。 |
「……やんでないじゃん……」 |
雪(みぞれ?)のちらつく曇天は、どう見ても「結婚式日和」とは言えない。 |
なんだよぉー、この日だけは晴れてくれって言ったじゃんよぉー。(誰にだよ) |
そんな事も言ってらんないので気持ち切り替えてさくさく準備。 |
予定としては、9時に新宿の美容院に寄ってから現地(舞浜)に向かい、友人2人と合流後11時に式場到着という流れ。 |
集合時間は11時45分だから余裕でしょう!! |
同じ高校の友人4人、ぎょーちゃん・ぢゃす・んみサン・ぱしちゃん(ぱちこ)はどんな格好で来るのかなーと思いつつ着替えていたら |
8時近くに、んみサンから一斉メールの着信が。 |
んみサン・ぢゃすの2人とは舞浜駅で待ち合わせをしているので、何かあったかな?と思いつつ携帯を開く。 |
「みんな、新木場くらいまでなら行ける?」 |
……? どういうこっちゃ。 |
行けない理由なんて……と思ったところで、はた!と気付き、慌ててテレビをつけてみる。 |
金メダル獲得の羽生選手を囲む臨時ニュース枠……それに踊る「運行見合わせ」の文字。 |
うそーん!! |
何!? そんなに天候ひどかったの!? 今もひどいの!? |
おののきつつニュースを追うも、ほぼ全線見合わせという壊滅的状態。こんなにひどい状況だとは!! |
追いかけるように、ぢゃすからメール。 |
「中央線が運転見合わせでどうしようもないです……都心はともかくこっちは全くダメ。披露宴に出られるかすら怪しくなってきた」 |
え゙ーーー!!! |
「披露宴に出られるかすら」って……式はもう完全アウトなの!!? |
ぢゃすは東京西部、いわゆる多摩地区在住で、仲間内でも一番都心から離れているのです。 |
でも披露宴は4時からなのに!! それすらも危ういって!! |
返信を打っていると、テレビに「中央線再開」の文字が。おぉ!! とりあえずメール送信。 |
「とりあえず東京には出られるかな……私はボードを届けねばなので、タクシー使っても行かねばだわ」 |
そう、今回私は「ウェルカムボード制作」という役目を仰せつかったので、ボード持参なのです。 |
んみサン「とりあえず行ける所まで行くしかないね」 |
そうね、1〜2時間すれば状況も変わってるだろうし……とりあえず早めに準備するにこした事無いわ。 |
急いで準備を整え、こんな状況で髪型も何もないなぁと思いつつ美容院へ向かうべく玄関のドアを開ける。 |
真っ白ー!! 何これー!! |
一足ごとにブーツが埋まる程の雪道。先週「記録的大雪」とか言ってたのに、その比じゃない。 |
徒歩5分程度の道を10分以上かけて最寄り駅に到着、動き出したばかりらしい電車に乗り込み |
とりあえず新宿には9時に無事到着、美容院に駆け込む。 |
お客さんゼロ。でも「そもそも美容師サンが出勤できたのだろうか」と思っていたのでそこは安心する。 |
髪を巻いてもらいつつ、「今日はお客さん少ないんですねー、朝早いですしね」と言ったところ |
「……いえ、他にも5名さま御予約だったんですけど、来られないみたいで」 |
そりゃそうだ。私は比較的近いから(あと、このボサ髪じゃ行けないから)必死で来られたワケで。 |
ともあれ無事に髪形も整い、予定より早く美容院を出る。(9:35) |
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吹きすさぶ強風。崩れる髪。(せっかくやってもらったのに!!!) |
新宿駅では電車は少しずつ動き出していて、東京に向かうべく中央線ホームへ向かうと、不安なアナウンスが。 |
「……に発車予定です。しかし当駅を出発しても、終点東京へは到着しない可能性もありますので、13番ホームの総武線へ……」 |
到着しない可能性!!? |
仕方なく、アナウンスの誘導どおり、総武線各駅で向かう事に。時間はかかるけど仕方無い。 |
でも、東京に着いても、京葉線が動き出さない事には舞浜まで行けないよ……。 |
ぎょーちゃんから一斉メールが来ていた。「みんな無事?」 |
うん、無事ではないね。 |
ぎょーちゃんは式場から一番近くに住んでいて、パパ(ダンナさん)の車で向かっているので、舞浜まで迎えに行ってもよいとの事。 |
でも、そもそも現時点でみんな舞浜まで行けない。 |
そして「無事ホテルに到着!」というぎょーちゃんのメール(彼女はヘアメイクの為みんなより一時間半も入りが早い)に続いて、各々から現状報告が。 |
ぱしちゃん「浦安駅に向かってます。バスかタクシーに乗れるといいんだけど…」 |
んみサン「いま四ッ谷で中央線待ち」 |
私「私もいま総武線で東京向かってます」 |
そして、ぢゃすから絶望的なメールが。 |
ぢゃす「現時点で最寄り駅から動けないので、式は完全に無理です……何とか披露宴目指します」 |
がーーーん。ぢゃすー。ぢゃすぅぅー。残念過ぎる。 |
とは言いつつ、私達だって着けるか怪しい。 |
中央線を回避した私に、んみサンから「中央線動いてるし空いてる。いま御茶ノ水だから、東京駅で待ってるよ」とのメール。 |
なー。だったら中央線快速乗れば良かったー。秋葉原で続々降りる人達を眺めつつ歯噛みする。 |
続いて、んみサンから「京葉線動いてるらしい」との嬉しい報告が!! |
私「マジか!! やった!! 東京駅に着いたら連絡するぜー」 |
こ、これは何とかなるんじゃない? 「次は浅草橋ー」とのアナウンスを聞きつつ、とりあえず東京までは無事行けそうだな、と安心していると、 |
「次はー、両国、両国ー」 |
……両国? |
やっちまったー!! そうだ、総武線は東京には止まらないんだよ!! (浅草橋で気付け) |
だから他の人たち秋葉原で乗り換えてたのに!! この状況で間違うかフツー!!? うわーんソッコー戻らなきゃ!! |
でもラッキーな事に、両国駅に着いた瞬間、向かい側に逆方向の電車が。急いで飛び乗る。 |
さっき通り過ぎたばかりの秋葉原に着き、意外とタイムロス無かった!と思いきや、東京行きがなかなか来ない。 |
んみサンにメール。「電車来たら先行って。次いつ止まるかわからんし」 |
んみサン「えー、心配だから待ってる」 |
この状況で電車降り間違えたとか怖くて言えない。 |
ちなみにこの頃、ぱしちゃんは浦安駅付近でタクシーもバスも捕まらず立ち往生していたらしい。そこへぎょーちゃんのメール。 |
「ぱちこ(ぱしちゃん)はパパが拾いに行きます。皆も安全第一で、気をつけて!!」 |
こんな時になんだけど、「ぱちこはパパが拾いに行きます」って言い回しが妙にツボって、車内で思わず吹き出してしまう。 |
しっかしタカーキさん(パパ)、出席者でもないのに功労賞だな……有り難い事です。 |
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そしてとうとう東京駅到着!! でも京葉線ってここからが遠いんだよね。 |
やっとの事でホームに着いた時は10時半を過ぎていた。ちょうど新宿駅を出てから1時間近く……普段なら20分くらいなのに……うわぁ。 |
次に発車予定の車両がもう来ていて、お客さんも乗り込んでいた。でもいつ出るかは未定らしい。 |
そんな中、ホント偶然に、車両の一つにんみサン発見。 |
私「あー!! 会えたー!!」 |
んみサン「おー」 |
とりあえず安心。皆に「んみサンと合流!!」とメールで報告する。そして「あと数分で発車」との車内アナウンスが!! やった!! |
予定より遅れたけど間に合いそうだね、と話しているとぱしちゃんから着信。いったんホームに出て電話に出る。 |
ぱ「電車動いてるのー」 |
私「うん、もう出るとこだよ。そっちは」 |
ぱ「いまタカーキさんに乗せてもらってホテル向かってるよー」 |
電車が出そうなのでさくっと電話を切る。 |
私「ぱしちゃん車のっけてもらったって」 |
ん「おー」 |
私「もう声が安心してたよ。余裕こいてましたぜ」 |
私達はまだ安心できないのだ。 |
しかし出発した電車は思いのほか滞りなく進み、20分後には無事に舞浜に到着!! |
ホームに溢れ帰る乗客たち。この人達これからディズニーランド行くのかな……こんな日に凄いなぁ。 |
ここで、ぎょーちゃんから「ぱちこ到着」の知らせが。やった!! 5人中2人が無事到着だ。 |
ぎょ「くろみや、んみこを頼むぜぃ。送迎バスも動いてるってホテルの人言ってたよ」 |
言い忘れてましたが、んみサンは妊婦なのです。7ヶ月。雪道が怖い……転んだら惨事だよ……!! |
しかし舞浜駅周辺は多くのディズニースタッフさんが雪かきをしていて、意外と道は出来ていた。 |
この人達も出勤するのに大苦労だったろうに……お疲れ様です。 |
バスが動いているとの情報は助かった。来るかわからないバスを待つのはリスクが高過ぎる。 |
とてもわかりにくい(何故なら数が多過ぎる)バス乗り場をやっと探し当てた時には、11時15分を過ぎていた。 |
でも、元々ホテルには11時着予定だったし、この状況でこのくらいの遅れなら上出来だ。 |
私「ホテルまで5分だし、すぐ着替えれば11時45分(集合時間)には間に合いそうだね」 |
んみサン「うん、それに式自体は多分12時でしょ? 余裕だよ」 |
まさかバスがそれから20分以上来ないとは。 |
やっと乗り込んで発車し、皆に「やっとバス乗れた!」とメールした時すでに11時37分。100パー集合時間に間に合わない。 |
んみサン「まぁでも2人で良かったよ。『しょうがないよね』って言い合えるし」 |
私「確かに、この状況で一人だったらハラハラし過ぎてどうにかなってたろうね」 |
決して余裕なワケではないけど、どうしようもないので腹をくくる私達。 |
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11時45分を少し過ぎたところで、やっとホテル到着!! |
「うわーん着いたよー!! やっとだよー!!」 |
まさか「到着」するまでこんなに大変だとは!! でも辿り着けないとまで思っていたから本当に良かった!! |
しかし12時から式ならもう時間が無い。私達は着替えねばならんのだ。 |
慌てて更衣室を探し向かうも、その途中の通路のど真ん中にドレスを着た花嫁サンがいて通れない。 |
ぎょーちゃんより入電。「だいじょーぶー?」 |
私「更衣室に行けないよー。んみサンも私も下にドレス着てるから脱ぐだけなんだけどさー」 |
ぎょ「まだリハーサルだから大丈夫だよー。予定もおしてるみたいだし」 |
そっか!! この状況ならホテル全体の予定もおしてて当然だ。ちょっとホッとする。 |
ここで気付いたのだが、今前方で通路の真ん中にいる花嫁サン(後姿)、よく見ると…… |
私「(小声で)こ、これムッちゃんじゃない!? 顔見えないけど、ドレスに見覚えが……(ボード作製にあたりドレス写真を見ている)」 |
んみサン「え?」 |
今まさに移動しようとしているこの花嫁さんは、本日の主役ムッちゃんだった!! |
更によく見ると、そのムッちゃんをはさんで向こう側に、電話を持ってるぎょーちゃんとぱしちゃんが見える。 |
私「ほぁー、キレイだなー(後姿だけど)……って、見とれてる場合じゃないんだよ」 |
んみサン「私もうここで脱いじゃおう」 |
脇にあった椅子に荷物をおき、んみサンがその場で上着を脱ぎだした。一番そういう事をやりそうもない人なので驚く。 |
私「ヤバい、んみサンがここで脱ぎだした」 |
ぎょ「え!? ちょっと、んみこが脱ぎだしてるよ。ぱちこにかわるね」 |
ぱし「あのね、そっち側で一階下に下りたら、こっちの更衣室側に上がれるエスカレーターがあるから」 |
電話を切ると、んみサンが既に「後はズボンとブーツ脱ぐだけ」になっている。見事なもんだ。 |
これならトイレでさくっと着替えたほうが早いのでは? と、さっき通り過ぎた女子トイレに駆け込む事に。 |
幸運な事に空いていて、2人さくさく脱ぎ始める。知らない人が「更衣室ありましたよ?」と教えてくれる。 |
んみサン「ある事は知ってるんだけどね……」 私「行けないんだよね……」 |
そして何とか身支度終了!! 無事クロークに荷物(ぐちゃぐちゃ)を預けるも、すでに12時を過ぎている。 |
しかし私にはまだやる事があるのだ。 |
「ウェルカムボード届けなきゃー!!」 |
そう、今回の私の役目「ウェルカムボード」、ムッちゃんは披露宴だけでなく式の後の「親族とのお食事会」にも使ってくれるとの事で |
着いたらすぐ担当の人に届けるよう頼まれているのだ。 |
言われていた通りブライダルサロンに行き、担当のオグラさんにボードを渡す。むしろこれさえやれば今日の私の役目は終わり!! |
慌てて皆のところに戻る。なんとさっき通ったホテルの入り口の真ん前が吹き抜けのホールになっていて、そこが式場だった。 |
続々と人が座り始めているが、まだまだ始まる気配は無い。とりあえず間に合ったワケだ!! |
「はー、良かったー……おしてて助かった……」 |
皆で一安心。 |
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そんな中ふと見ると、ぎょーちゃんの隣に、るー君(ぎょーちゃん息子・小2)が。赤いトレーナー姿で元気に跳ねている。あれ? と思って |
改めて見ると、ぱしちゃんまで運んでくれたタカーキさんもいて、しかもスーツを着ているじゃないか。 |
私「もしかして、この2人も……」 |
ぎょ「式だけ出るよー」 |
いいねそれ!! 元々は出る予定だったとも聞いているし、むしろこの状況で出ない理由が無い。るー君めっちゃ普段着だけど。 |
しかしこうなるとますます、ぢゃすが間に合わないのが残念だ……。今回は、もう一人の友人ヤミコが仕事でどーしても来られず |
ワン欠けだったので尚更。うぅ。全部雪のせいだ。 |
ほぼ全員が集まったと思われる頃、横の大きな階段の上から新郎が降りてきた。聖壇前ではなく階段の下が待機場所の模様。 |
私は初対面なんだけど、ボード作製の為ここ数週間ずっとこの人の写真を見つめてきているせいか、全然初めて会った気がしない。 |
「あのさぁ、オレらあの本もらってないよね?」 |
タカーキさんの言葉に周りを見渡すと、他の人がみんなリーフレットのような物を持っている。賛美歌の歌詞が書いてあるやつだ。 |
あれ? どこで配ってるんだろう。私達は全員持ってない。きょろきょろしだしたところで、 |
「レディース・エン・ジェントルメン」 |
いつの間にか現れていた牧師サンが、開式のアナウンスを始めてしまった。仕方ない、まぁ歌詞はどうとでもなるだろう。(なるか?) |
この牧師さん、申し訳ないけど、話し方が独特で、話が一向に入ってこない。英語でずっと喋っていたと思ったらいきなり日本語で話し出して |
「そこで日本語かい!!」ってツッコミたくなる。とにかく式が始まるんだな!? わかった。 |
「花嫁の入場です」 |
一斉に振り向く人々。正面にムッちゃんのお母様が見える。 |
そして、右側の通路奥から、しずしずとムッちゃんがお父様と共に登場。 |
「わー……!!」 |
さっき後姿だけ見た真っ白いドレスは事前に写真で見せてもらっていたものと同じだけど、やっぱり実物はとても綺麗だ。 |
皆が感嘆の表情を浮かべるのがわかる。お母様がベールを上げて、お父様から新郎にバトンタッチ。 |
ムッちゃんは泣いててもおかしくないな、と思っていたけど、皆の間を新郎と共に進むムッちゃんに涙はなく、むしろ笑顔だ。 |
2人が聖壇の牧師さんの前に到着し、厳かに式が始まった。 |
式の内容は特に事件も無かったので割愛。(事件あってたまるか) |
ただ、流石に一曲目の賛美歌(いーつくしみふかーきー)はわかるも、二曲目はわからなかったので、音楽に合わせて一曲目の歌詞を呟いた事と |
牧師さんの最初の呼びかけに対するムッちゃんの「はい」の声が優しくて和んだ事が印象的だった。(こっちを先に書け) |
ちなみに係の人が「では皆様、こちらに並んでお二人をお見送り下さい」って列後方から順に案内し始めたのがその2曲目を歌っている最中。 |
何故だ!! おしてるからか!? 私「い、今!?」 タカーキさん「まだ歌ってるのに!!」 |
なんだかんだで2列に並んだ参列者に、フラワーシャワー用の花びらが配られる。そして数人に何故か巨大なクラッカーが。 |
係の人「私が合図したら鳴らしてください」 |
おぉ、そういう趣向もあるのか……てか合図ってどんな。詳しい説明も無いまま2人の退場開始。 |
フラワーシャワーのなか列の間を通る2人は笑顔爆発!というカンジで、見てるこっちも嬉しい。もーちょっと花びら欲しいくらい。 |
2人が最後まで通り過ぎると、さっきの係の人がすっと手を挙げた。……あ、あれが合図かい!! わかりにく!! 少しズレたタイミングで次々クラッカーが鳴る。 |
思ったより大きな音と飾りが飛び出て、花嫁ムッちゃんも驚きの表情だった。そりゃそーね。飛び出た飾りの一片が天井に引っかかる程だしね。 |
んでもってブーケトスだ。私これ個人的にむっちゃ苦手。(何故なら別にブーケが欲しくない。そんな人間が受け取ってしまうのも失礼な気がする。) |
でもブーケが床に落ちる事も多いらしいし、それを避けるべく、欲しいだろうに前に出ようとしないぱしちゃんを前に押し出しつつ後方にスタンバる。 |
ムッちゃんが投げたブーケは思いのほか飛んだ。ぱしっと音をさせて誰かが見事にキャッチ。 |
……誰あの男の人。 |
唯一紛れていた男性がブーケ片手にウィニングポーズ。まぁちょっと面白いけども。 |
その後は、ホール吹き抜けの上(2階)からカメラが見下ろす形での集合写真撮影が。新郎新婦を囲んで、全員が上を見上げるのです。おぉぉ |
凄いねこれ!! 小学校の、校庭に全員集まって屋上から撮影する写真みたいだね。(その後下敷きになって配られるやつ) |
もの凄くマジメそうな係員(おじさん)がカメラマンの横で盛り上げてくれる。 |
「はい皆さん、笑って笑ってー」 |
でも、いかにも「超マジメな人が頑張っておどけてる」みたいなカンジで、それで皆ちょっと苦笑い。 |
更に「これでもっと笑ってくださいー。ハイッ!!」と両手にディズニーキャラのぬいぐるみを取り出した。何故それで笑うと思う。全員引き気味。 |
「はい皆さん、ひかないでー」 |
うん、今のセリフはちょっと面白い。 |
そうして写真撮影も終わり、式は無事に終了したのでありました。 |
残された我々(親族以外は披露宴までやる事ナッシン)の間で、るー君がせっせとクラッカーから出た飾りを拾い集めていた。キミはそれをどうするつもりだ。 |
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さっきの式場の真横にあるレストランでお昼を食べていた私達のところに、どシリアスな表情の男の人がやってきて、ぱしちゃんに何かを話して |
去っていった。ちょっと離れた一画にあるテーブルに、同じようなスーツの人達が数人集まっている。 |
私「誰? ホテルの人? 何だって?」 |
ぱ「ううん、ダンナさんの友達。あの人が幹事なんだよ。色紙、書いてほしいって」 |
え、同じ参列者? な、なんであんな怖い顔してるんだろ……怒られてるのかと思ったよ。 |
とりあえず私とぱしちゃんの2人がそのテーブルに向かうと、ミッキーの形をした洒落た色紙が用意されていて、さっきのシリアス君とは |
違う人がにこやかに「よろしくお願いします」とペンを渡してくれた。 |
ぱ「どうしよう、なんて書こうかな……くろみや先に書いてよ」 |
にこやか君「一人目って悩みますよねー」 |
私「私も文は悩むから絵にしようっと」 |
そこへさっきのシリアス君が登場。私達の色紙を覗き込むと、ミッキーの耳に当たる部分を指差し、 |
シリアス君「あの、最初はここから書いて下さい」 |
私「??? いいですけど、どうしてですか?」 |
シリアス君「いや、バランスが」 |
……シリアス君っつーか生真面目くんと言うか……。(なんかその後も硬い顔で見張ってて怖い) |
描き終わってぱしちゃんに回した後、居たたまれない空気だったので「これ以外に何かやる事とかお手伝いする事ってあります?」と聞いてみる。 |
シリアス君「いえ、受付で活躍して頂ければ結構です(超真顔)」 |
……何その言い方怖いー!! ちょっとトゲあるー!! 思わず引きつってしまう。同じ祝福する立場なんだからもっと和やかに行こうよー!! |
本当に居辛くなって、「残りの2人呼んでくるー」と、まだ書いてるぱしちゃんを置いて退散。(ヒドい) |
それより、私はぢゃすの事が気になっていた。 |
そろそろ2時になるのに音沙汰が無い。まさか、まだ電車に乗れてもいないんじゃ……。 |
「どんなカンジ? こっちは式も無事終わって披露宴待ちです」とメールしてみる。 |
数分後、メール着信が。 |
ぢゃす「今ちょうど東京つきました!! 京葉線に向かって移動中」 |
おぉ!! いま東京なら流石に間に合うはず!! |
私「良かったー、なら充分間に合うね。焦ってケガとかしないように」 |
ぢゃす「式、無事終わって良かったね! 山岳救助隊みたいな格好です」 |
山岳救助隊? |
……とにかく来られそうで一安心。 |
ちなみに冒頭から「披露宴」と書いているが、正確に言うと今回行われるのは「披露パーティ」だ。恐らく感覚的には今流行り(?)の1.5次会のような |
ものなのかな。具体的に違いを言うと、まず親族は出席しない。列席者は友人中心で、そもそも企画や進行も「新郎新婦側」ではなく友人達によるもので(それが |
さっきのシリアス君達なワケだね)、ムッちゃんも事前に「お任せだから、私も内容あんまり知らないんだよねー」と言っていた。 |
どんな内容なのかしらねー、ワクワク。 |
そこへ色紙を書き終わった皆が戻ってくる。そろそろレストランから移動しよう。 |
ぱしちゃん「くろみや、色紙書いてって」 |
くろみや「へ? 私さっきもう描いたじゃん」 |
ぱしちゃん「いや、なんか空白出来そうだからもっと絵を描いてくれって」 |
……えー、描くのはいいけどまたあの空間に戻るのイヤーン!! |
恐る恐る行くと、まだ書いてない人がいるとの事で、「じゃぁ最後の人が終わったら余白を埋めるという事で」と早々に立ち去る事に。長居は怖いんだぜ。 |
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2階に待合スペースらしき場所があったので、そこで待機する事にした。パーティ会場は9階だけど、受付は2階だからちょうどいい。 |
ちなみにこちら新婦友人側で受付を頼まれているのは、ぱしちゃんとぢゃすの2人。 |
ぢゃすは朝からのメールで「受付どうしよう」「受付に間に合いますように」と繰り返していて、私達は「まぁ4時の披露宴に間に合えば、3時15分からの受付は |
他の誰かがやればいいし」と言っていたのだけど、本当にそうなる可能性もゼロじゃない。誰がやるんだ。 |
ぎょ「くろみやちん、よろしく」 |
私「え、ぎょーちゃんがやるんでしょ? ホラ私はボードも届けたし、もう今日の役目は終了したから」 |
そんなぢゃすから、2時半の時点で「いま舞浜に着きました!!」とのメールが!! |
やった!! 私達と同じくらいバスを待ったとしても、3時にはここに着くだろう。再度安心。受付代行も免れそうで。 |
ぎょーちゃんの「パパがアロワナを飼い始めてさー……」といった愚痴を聞いていると、離れた所で窓から海を見ていたタカーキさん&るー君がやってきて |
そろそろ帰ると言う。でもまた夜にぎょーちゃんを迎えに来るらしい。 |
タカーキさん「今アロワナの悪口言ってた? 俺のアロワナの悪口言ってた?」 |
聞こえてるし。この人もちょっと面白いよなぁ。 |
私「あのー、『はじめの一歩』って読んだ事あります?」 |
タカーキさん「ドラゴンフィッシュブロー?」 |
話が早い。 |
そんな2人を見送りつつ、引き続き「餌が金魚とかザリガニで」とか「餌用のコオロギってのが」といった、とても結婚式場にはそぐわない話を聞いていると |
ぢゃす「ホテル着いたー!!」 |
ちょうど3時頃、ぢゃすからメールが!! |
慌てて入り口近くのエスカレーターまで迎えに行くと、ちょうど下から何やら重装備の人物が一人上がってくるところ。 |
私「ぢゃすーーー!!!」 |
ぢゃす「あーーー!!!」 |
とうとう、最後の一人が到着!! うわーん良かったよー!! |
しかし一見ぢゃすとわからない程着込んでいる。足には長靴、抱えているのはどデカいボストンバッグ。 |
何その大荷物……なるほど救助隊だ。そのバッグ、いつも旅行のとき持ってるやつやん。 |
皆「良かったー、間に合ったー!!」 |
ぢゃす「もうダメかと思ったよー!! 諦めて、せめて祝電打とうと思って電報のサイトとか調べてたー!!」 |
そ、そこまで……本当お疲れ様です。まさか3時になるとはね……。 |
受付まであと15分、余裕こいてもいられないので早々に更衣室に送り込む。 |
そういえば、私も髪がぼさぼさのままなのよね。式の直前に着いたから直すヒマも無かったし。 |
私「せっかく美容院でやってもらったのに、私これ髪が崩れまくってない?」 |
ぎょーちゃん「うん、そうだね」 |
「そんな事ないよ」って言ってくれよ。 |
トイレで鏡を見て仰天。巻いた髪の毛がほぼストレートになっている。なんか湯上がりみたい!! |
直そうとするも、どうしようもないのでせめて化粧だけ直し、結局その湯上がりスタイルのままでトイレを出る。 |
まぁ今日の主役、私じゃないから。 |
もう今日の不備や失態は全てこの一言で済ます所存。今日はムッちゃんさえ綺麗ならそれでいいのよ。 |
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戻ると、受付の準備が着々と始まっていて、さっきまで山岳救助隊だったぢゃすがパリッとパーティスタイルに変身していた。 |
おぉ……別人だよ。見事なもんだわ。10分前までモコモコだったとは思えない。 |
そんな中、一つ気になる事が。 |
……私が預けたウェルカムボード、どこに飾られるんだろ……? |
恐らく受付の卓上に置かれると思っていたけど、遠目に見ても全然見当たらない。あれ!? 私ちゃんとオグラさん(担当の人)に渡したよね!? なんか今 |
受付周りにいるのは別の担当の人なんだけど、もしかして内部の連携うまくいってないとか? 私、預けた時点で安心してたけど、飾られるに至るまで |
ちゃんと確認しなきゃだよね!? きっと。 |
案の定、その担当の人に聞かれたらしく、ぢゃすが戻ってくる。 |
ぢゃす「ねぇ、ウェルカムボードって……」 |
私「渡してあるよー!! オグラさんに預けたんだよー!! でも、ムッちゃん食事会でも使うって言ってくれてたから……」 |
その話の途中、その受付担当の人が近づいてきて、 |
「すみません、ボードありました。まだご親族との御食事会で使われてるみたいで」 |
もおぉぉ、心配したよー!! |
そして数分後、どこからともなくボードが現れて、イーゼルで受付に飾られた。 |
……え!? あんなど真ん中なの!? 恥ずかしいぃー!! |
私「ちょっ……受付ど真ん中なんだけど……!!」 |
んみサン「え、そういうモンでしょ。フツーだよ」 |
ぬああああ、めっちゃ気合い入れて書いたとはいえ、やっぱりあれだけ人目につくと恥ずかしいぃ!! |
あ、そういえば、ボードが来たという事は、ご親族との御食事会が終わったって事よ。 |
私「ムッちゃんのお母様に挨拶したいなー。会えるかなー」 |
んみサン「そーだね。ここで待ってれば通るんじゃない?」 |
ムッちゃんのお母様には学生時代に会ったきりだけど、お手紙のやり取りは少しあるのです。きっと「くろみや」と言えばわかってくれるはず。 |
さっきから待機しているこの場所は本当に「待機場所」だったらしく、続々と人が集まってきた。どうやら、受付を済ませた順に |
会場(9階)へ上がるのではなく、ここで待っていて時間になったらまとまって移動する方式らしい。 |
ウェイターらしき人が周囲に飲み物をサーブし始めた。凄い、こんなサービスが!! オレンジジュースが美味しくて一気飲みしてしまう。 |
そうこうする内、噂のお母様を筆頭にご親族が続々と現れた。だけど、ご親族同士で歓談されてて挨拶に行くタイミングが掴めない。 |
先に受付済ませちゃおう、という事で受付に向かう。ディズニーの芳名帳が上品だ。なのに自分の字がヘタ過ぎてイヤになる。 |
ユーキャンのペン字講座のCMを「芳名帳記入の時しか役に立たなさそう」とバカにしていた自分にチョップくれたい。 |
ぢゃすが渡してくれたのは、めちゃめちゃ可愛い色使いのディズニーモチーフの席次表、そして何やら名刺サイズのカード。 |
ん? 何コレ。 |
ぢゃす「お隣でクイズに答えて下さい」 |
ふと見ると横の机に箱が置いてあり、さっきの「にこやか君」が「カードにお名前とクイズの答えを書いて、この箱に入れて下さーい」と言っている。 |
クイズ? なるほど、後で答えあわせをするって余興があるワケね。 |
問題は一問。「新婦に『ディズニーといったら?』 と言ったら、なんて答えるでしょうか?」 |
クイズというより、連想ゲームの答えを予想するって事だね。うーん、何だろう。 |
近くの人達(恐らく新郎のご友人)が「ディズニーランドでプロポーズしたって言ってなかった?」と話している。確かにそうなんだけど、きっとコレ、答えあわせは |
その場で「ディズニーといったら?」って聞くんだろうな。だとしたら「プロポーズ!」とは言わないだろう。きっと、反射的に答えるのは…… |
「ミッキーマウス」と書いて箱に入れる。ムッちゃん絶対ミッキーって言うと思う。 |
その後、無事にお母様とも話す事が出来た。あとはパーティの開始を待つだけだ。 |
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開始時刻の4時まであと数分。来るべき人はほとんど来たらしく、もう受付は閑散としている。 |
ぱしちゃんとぢゃすに「何か手伝う事あるー?」と聞きに行くと、「いや何も」と答える2人にカブる勢いで、私を覚えていたらしい隣の「にこやか君」が |
「あ! 色紙、完成させて下さい!!」と言い、脇からさっきのミッキー色紙を出してきた。 |
おい。ど真ん中が空いてるぞ。どうしろっちゅーんだ。ここに私が絵を描いたら、私の色紙みたいになるぞ。 |
席に戻って描き始めるも、下描きが出来ないからうまくいかない。えーん、せめてもっと時間があれば。 |
更に、描き始めた直後にホテルの人が「皆様お待たせしました、これから会場にご移動頂きまーす!」と言い始める。 |
ちょっちょっ、まだ描き終わってないのにぃぃ!! |
んみサン「ぱちことぢゃすもまだ受付の所に残ってるし、私達は先に行ってるね?」 |
私を置いて9階へ行ってしまうぎょーちゃん・んみサン2人。いいけど!! 別にいいけど!! |
次の数分、本当に数分間だけだと思うけど、私は色紙に完全に集中してしまった。描き終わり、よし!! と顔を上げると、 |
その場にいるのは私一人。 |
えーーー!!? ちょっとおぉぉ!! 皆行っちゃったの!? ぱしちゃん・ぢゃすもいないどころか、受付も片付けられている。 |
慌てて時計を見ると4時7分。ギャース!! 思ったより時間経ってた!! ま、まさか始まってないよね!? |
何だよぉー誰か声かけてくれよぉー!! と思いつつ慌ててエレベーターに飛び乗ったところで、メール着信。 |
んみサン「ぱちことぢゃすも上がってきてるよ?」 |
知ってるー!! うわーん!! |
9階に着き、エレベーターの扉が開くと、目の前に今まさに入場しようとしているムッちゃんが!! |
慌てて色紙を隠しつつ、脇をすり抜けて会場内へ。 |
既に式場のアナウンスが始まっていて、照明も落とされていた。もう本当に「新郎新婦入場」の直前。 |
ひー!! 急いで席に着く私。安心&呆れ顔の友人達。(置いてったくせにー!!) |
でも良かった、もうちょっと遅かったら完璧に「新郎新婦の入場」とタイミングがカブってた……危なかった。 |
「では、新郎新婦の入場です!!」 |
入場曲が大音量でかかり、式場の人に付き添われて2人が入ってきた。 |
ムッちゃんは見事な和装!! さっきはよく見なかったけど、赤を基調とした豪華絢爛な着物姿だ。色が白いので映えている。 |
はー、綺麗だわぁ……。 |
高砂に向かう2人を見つつ改めて室内を見渡すと、会場はかなり豪華だった。広々とした空間に煌びやかな照明と飾りつけ、何人も並ぶ給仕の人。 |
これ披露宴と変わらんやん……重ね重ね凄いぜ。 |
と、思ったら。 |
「さー、始まりましたっ、Kイチさんとムチコさんの結婚披露パーティ!!!」 |
突然、「厳か」とは言えない口調のアナウンスが始まった。え、何? |
「司会を務めさせて頂くのは、ヒゲの生えてるほうこと○○とっ」 |
「最近太ってきた私△△ですっ。どうぞよろしく!!」 |
なんか、写真撮影の時のおじさんと同じような、「マジメな人が無理して砕けてる」みたいな口調だけど……と思いつつ前方をよく見やると、 |
マイクを握っているのはさっきのシリアス君とにこやか君。 |
アンタらかー!! いや幹事だからそりゃそうだけど、何だその妙な砕けようはー!! |
無事入場を見られた安堵感と相まって脱力してしまう。 |
そんな不思議な空気の中、披露パーティは厳かに(とは言い切れない雰囲気で)始まったのだった。 |
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《終》 |